「熱中症対策が義務化されたと聞いたが、具体的に何をすればいいのかわからない」「対応が不十分だった場合、どのようなリスクがあるのか知りたい」——建設・製造業の安全管理担当者の方々から、こうした声が多く聞かれます。
2025年6月1日に改正労働安全衛生規則が施行され、職場における熱中症対策(※)が罰則付きで義務化されました。厚生労働省「令和6年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況」によると、2024年には全国で1,257人が熱中症で労働災害と認定され、そのうち31名が死亡しています。
この記事では、30〜50代の建設・製造業の安全管理担当者の方に向けて、義務化の背景と具体的な内容、現場で実施すべき対策を解説します。

熱中症対策(※)の義務化とは?法改正の背景と概要
熱中症対策(※)の義務化がなぜ必要とされたのか、その背景と法的な位置づけを理解することが、適切な対応の第一歩です。
労働安全衛生法・STOP!熱中症クールワークキャンペーンの位置づけ
職場における熱中症対策(※)は、労働安全衛生法を基盤としています。同法は、事業者に対して労働者の安全と健康を確保するための措置を講じる義務を課しています。
厚生労働省は毎年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を展開し、熱中症予防の啓発活動を実施してきました。しかし、啓発活動だけでは十分な効果が得られず、死傷者数は高止まりの状態が続いていました。
こうした状況を受け、政府は予防策を明確に義務化し、違反時には罰則を設けることで、すべての企業に確実な対応を求める方針に転換しました。
2024年改正で何が変わったか?義務化のポイントを整理
2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則(第612条の2)により、以下の対策が法的義務として明確化されました。
| 義務化された項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| WBGT値の把握 | 暑熱環境での作業前にWBGT値を測定し、基準値との比較を行う |
| 作業計画の策定 | WBGT値に基づいた作業時間・休憩時間の計画を立てる |
| 作業環境の整備 | 日よけ・休憩場所・飲料水の確保など |
| 労働者への教育 | 熱中症の症状・予防方法・応急処置についての教育実施 |
| 健康管理 | 作業前の健康状態の確認、体調不良者への配慮 |
この義務化の対象は、WBGT28℃以上または気温31℃以上で、連続1時間以上または1日4時間超で実施が見込まれる作業環境です。空調設備のない工場や倉庫なども含まれます。
事業者が義務として対応すべき具体的な措置
法令に定められた義務を果たすために、事業者が具体的に何をすべきかを解説します。

WBGT値の測定・管理と作業環境の整備
WBGT(Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)は、熱中症リスクを評価するための指標です。気温だけでなく、湿度や輻射熱も考慮した数値であり、熱中症予防において最も信頼性の高い指標とされています(参考:厚生労働省「職場における熱中症予防基本対策要綱」)。
WBGT値の測定方法
- 作業場所の代表的な地点にWBGT計を設置する
- 作業開始前および作業中に定期的に測定する
- 測定結果を記録し、保管する
WBGT基準値と対応の目安
| WBGT値 | リスクレベル | 必要な対応 |
|---|---|---|
| 25℃未満 | 注意 | 通常の水分補給を励行 |
| 25〜28℃ | 警戒 | 休憩時間の確保、こまめな水分補給 |
| 28〜31℃ | 厳重警戒 | 作業時間の短縮、休憩の頻度増加 |
| 31℃以上 | 危険 | 原則として作業中止、やむを得ない場合は特別な措置 |
作業環境の整備として、以下の対策が求められます。
- 日よけや簡易テントによる直射日光の遮蔽
- 冷房設備を備えた休憩場所の確保
- 飲料水・スポーツドリンクの十分な準備
- 送風機やスポットクーラーの設置
労働者への教育・健康管理・作業計画の見直し
教育の実施
熱中症に関する教育は、作業員全員を対象に実施する必要があります。教育内容には以下を含めます。
- 熱中症の発生メカニズムと症状
- 予防のための具体的な行動(水分補給、休憩、服装など)
- 体調不良時の対応方法と応急処置
- 緊急時の連絡体制
健康管理の実施
作業開始前には、以下の確認を行います。
- 睡眠不足や二日酔いなど、熱中症リスクを高める状態でないか
- 持病(糖尿病、高血圧など)の有無と服薬状況
- 当日の体調の自己申告
作業計画の見直し
WBGT値の予測に基づき、以下の調整を行います。
- 暑い時間帯を避けた作業スケジュールの設定
- 連続作業時間の上限設定(例:WBGT28℃以上では30分ごとに休憩)
- 暑熱順化期間の確保(新規入場者は7日間程度、徐々に作業負荷を上げる)
違反した場合のリスクと行政指導・罰則
義務化された対策を怠った場合、以下のリスクがあります。
| リスクの種類 | 内容 |
|---|---|
| 行政指導 | 労働基準監督署による是正勧告、改善指導 |
| 刑事罰 | 労働安全衛生法第119条に基づき、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金 |
| 民事責任 | 労働者や遺族からの損害賠償請求 |
| 社会的信用の低下 | 入札資格の制限、取引先からの信頼喪失 |
特に死亡事故が発生した場合、企業名が公表されるケースもあり、経営に大きな影響を与えます。
現場別の熱中症対策(※)の実施例
業種や作業環境によって、熱中症リスクの特性や効果的な対策は異なります。

建設・土木現場における対策
建設・土木現場は、屋外作業が中心であり、直射日光や照り返しによる熱負荷が大きいことが特徴です。
主な対策
- WBGT値のリアルタイム監視と基準値超過時のアラート体制構築
- 冷房付きの休憩コンテナや大型テントの設置
- 早朝作業(6時〜10時)の活用
- ファン付きウェアや冷感インナーの活用
工場・製造業・警備・配達現場での適用ポイント
工場・製造業
- 局所排気装置やスポットクーラーの設置
- 熱源からの距離を確保した作業配置
警備業
- 交代制の徹底(30分ごとの交代など)
- 携帯型扇風機や冷却グッズの支給
配達業
- 配達ルートの最適化
- 冷感インナーの着用推奨
熱中症対策(※)グッズの種類と選び方
熱中症対策(※)グッズは様々な種類があります。作業環境に応じた選び方のポイントを解説します。

主要な熱中症対策(※)グッズの比較
| カテゴリ | 特徴 | 適した作業環境 |
|---|---|---|
| ファン付きウェア | 電動ファンで外気を取り込み、汗の気化熱で冷却 | 屋外作業、動きのある作業 |
| 冷感インナー | 接触冷感素材や吸汗速乾機能で涼しさを提供 | すべての作業環境 |
| 冷却ベスト(保冷剤タイプ) | 保冷剤をセットして身体を直接冷却 | 高温環境での短時間作業 |
| 冷感アクセサリー | ヘッドキャップ、アームカバーなど | 補助的な対策として |
選び方のポイント
- 動きの多い作業:軽量で動きを妨げないもの
- 静止作業:冷却効果の持続時間(※1)が長いもの
- 既存の作業服との相性も確認
※1 冷感持続性:発汗シミュレーション試験による(ユニチカガーメンテック)
フリーズテックのおすすめ製品
フリーズテックの冷感インナーは、持続冷感テクノロジーを採用しています。汗や水分に反応して冷感が持続する(※2)仕組みです。
冷感インナー
- WORK LINE 冷感長袖クルーネック ベンチレーション付(9,680円):通気性を高めるベンチレーション機能付き
- WORK LINE レギュラーフィット 冷感シャツ 半袖(6,050円):コストを抑えたい場合に
高機能タイプ
- 氷撃α 冷感アームカバー ロングタイプ 両腕用(4,180円):従来品(※3)と比較して冷感性能が向上
※2 冷感プリントが水分に反応している間 ※3 従来品:当社フリーズテック商品レギュラーフィットシリーズと比較して
保冷剤タイプ
- PCMクーリングベスト Black LIDEF(16,280円):冷却温度26℃をキープ、約120分の連続使用が可能
まとめ
熱中症対策(※)の義務化は、労働者の命と健康を守るための重要な法改正です。
この記事のポイント
- 改正労働安全衛生規則により、WBGT測定・作業環境整備・教育訓練が罰則付きで義務化された
- 違反した場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金のリスクがある
- 現場の特性に応じた対策(建設・工場・警備・配達など)が必要
- ファン付きウェア・冷感インナー・冷却ベストなどのグッズを活用し、作業環境を整備する
熱中症対策(※)グッズの導入を検討されている方は、各メーカーの製品ラインナップをご確認ください。フリーズテック製品にご興味があれば、公式サイトもご参照いただけます。
よくある質問(FAQ)
Q: 熱中症対策(※)の義務化は、すべての企業が対象ですか?
A: 高温多湿な環境下で作業を行うすべての事業場が対象です。建設・製造業に限らず、農業、運輸業、警備業など、屋外や空調のない環境で作業を行う企業は対応が必要です。事務所内の一般的なオフィスワークのみの企業は対象外ですが、倉庫作業や外回り業務がある場合は該当する可能性があります。
Q: WBGT計はどのような製品を選べばよいですか?
A: JIS規格(JIS B 7922)に適合した製品を選ぶことが推奨されます。価格帯は数千円のハンディタイプから、数万円の据え置き型まで様々です。屋外作業が中心の現場では、黒球温度を測定できるタイプを選んでください。
Q: 冷感インナーとファン付きウェアは、どちらを優先して導入すべきですか?
A: 予算や作業環境に応じて判断してください。冷感インナーは比較的安価で導入でき、すべての作業員に配布しやすい特徴があります。ファン付きウェアは初期費用が高いものの、冷却効果が高く、特に炎天下での作業には効果的です。両方を併用することで相乗効果が期待できます。
注釈
- ※「熱中症対策」…冷感効果のあるアイテムを活用して暑さを乗り切ること を指します。







